animal IT innovation

動物の福祉に ITを活用しよう

動物愛護の現状

違反者として送検されるまで

 動物を傷つけるような明らかな動物虐待でなくとも、動物の5つの自由(※7)が守られていなければ、不適切な管理として取り締まりの対象となります。例えば犬の場合、平成28年(2016年)動物愛護管理行政が引取ったのは 41,000頭余りで、その 89%に当たる 36,000頭余りが所有者不明の犬でした(※8)。被災犬などを除けば、所有者不明の犬は不適切な管理の結果です。その 36,000頭という数の多さは法律違反件数の 90件とは桁が違います。

 違反件数に数えられるまでにはいくつかのステップがあり、「誰かが違反行為を行う」→「それが見つかる」→「警察が捜査・逮捕を行う」→「検察に送る」、というステップを踏むことで、はじめて違反件数に数えられることになります。もし、このステップのどこかで中断すると、違反件数には数えられません。そして、「検察で捜査」→「起訴」、となりますが、起訴をしなければ不起訴となり、裁判にはかけられません。

 もし私たちが不適切な管理の下にいる動物を見つけたら、110番に通報しようと思うでしょう。その後警察が捜査・逮捕を行って、結果を検察に送ると違反件数に数えられます。

 しかし警察への通報は、相手を犯罪者と確信できない限り躊躇してしまうかもしれません。警察以外の通報先には、行政の保健所(あるいは愛護センター)など都道府県の職員がいる施設、公益社団法人 日本動物福祉協会などの準公的機関の相談窓口、あるいは身近な民間の動物愛護活動団体などがあります。このように通報先には、さまざまな窓口があり、特に窓口自体が狭いわけではありません。それでも違反件数が少ない理由を、ステップごとに考えてみました。