animal IT innovation

動物の福祉に ITを活用しよう

これからの動物愛護 ~ハルモニアが目指す未来~

登録データを拡張する効用

 地域猫など、本誌で考慮されていない問題もあります。しかし、TNR(飼い主のいない猫を捕獲し、不妊去勢手術を行い、元の場所に戻す)を実施することで、その猫は必ず獣医師の処置を受けます。その際に猫に電子タグを着用させ、「地域猫」としてデータを登録すればよいのです。

 動物に関わる問題は、必ずといって良いほど獣医師が関わります。一度でも獣医師が診た動物は、必ず電子タグを着用の上、所有者データを登録するようにします。そうすることで、その動物が保護された際、電子タグによって所有者が判明する確率が非常に高まります。

 電子タグリーダーは獣医師や保健所だけでなく、業者や動物保護活動を行う方や、警察等も所持することで、よりデータベースの精度が高まります。その際、データ登録内容の閲覧範囲を、それぞれの権限の範疇に制限すれば、個人情報の漏えいの心配もありません。

 何らかの問題が生じ動物が保護された場合、電子タグによって所有者が判明するだけでなく、その動物の履歴もわかるようになるのです。動物がこれだけ雄弁に自分を語れるようになれば、人間はその動物に関して、嘘がつけなくなることでしょう。

 それだけではなく、将来、動物愛護管理法が改正され新たな規制ができても、例えば、ここでは全く触れていない「8週齢前のペットの販売を禁じる制度」が採用されたとしても、電子タグリーダーで週齢が分かるため、わざわざ新たな仕組みをつくらなくとも対応ができるのです。電子タグリーダーは、将来発生するかもしれない問題の解決にも使える優れたツールといえるでしょう。