animal IT innovation

動物の福祉に ITを活用しよう

動物愛護の現状

不起訴になるケースが多い理由

 「なぜ 6割以上も不起訴なのか」という点を考えてみましょう。

 不起訴件数が多いのは、必ずしも「罪がない」という判断に基づくものではありません。平成28(2016)年度の不起訴 57件の内、起訴猶予は 48件です。起訴猶予とは「犯罪を犯したことが事実であり、その証拠もあるけれども、検察官が裁量によって起訴を見送ること」です(起訴便宜主義*8)。

 「犯人の性格、年令および境遇、犯罪の軽重および情状、ならびに犯罪後の情況により訴追を必要としない」とされていますが、検察は不起訴にした理由を明らかにしません。しかし犯罪を犯した者を起訴もしないで社会に戻すということは、その犯罪者が社会に与える影響はそれほど重大ではないという判断であることに相違ありません。それは、「命ある動物への犯罪はモノに対する犯罪よりも重い」、と思う一般市民の感情と乖離しているといえるでしょう(*9)。

*9
動物愛護関係者は動物愛護管理法違反が重大な犯罪とみなされていないと感じています。 それは起訴猶予率が高いからだけではありません。 起訴されて判決が下った事案に関しても、罪状に比して刑罰が余りにも軽いと感じられるからです。 例えば、動物を虐待死させる事は人間であればなぶり殺しですが、 平成29(2017)年に猫13匹を残虐な方法で死傷させ、 その動画を公開していた元税理士に言い渡された判決はわずか「懲役1年10カ月執行猶予4年」でした。 これは悪夢のような判例となって、今後の裁判に影響することは間違いありません。 猫13匹を虐待して死傷させ、その動画を公開していた犯人の人間性を思えば、 誰だって「そんな人の隣に住むのはイヤだ」と思うはずですが。 この判決には双方控訴無く、確定しています。