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動物の福祉に ITを活用しよう

動物愛護の現状

動物愛護法違反件数が少ない理由

理由① 警察に通報できない

 動物病院の医師は虐待が疑われる動物を診療した場合、警察に通報する努力義務が法に定められていますが、なかなか通報できない実態があるようです。たとえ正確に虐待を見極める能力を持った獣医師でも、通報できないのです(*7)。あなたは110番に通報をしたことがありますか?疑いをもった時に通報するハードルが意外に高いために、通報されずに見過ごされるケースが一定数あると思われます。

理由② 警察まで通報がいかない

 都道府県の担当職員には、捜査権・逮捕権がありません。通報を受けて現場に駆けつけても、捜査すること、捕まえることをできません。これは公益法人の相談窓口や民間活動団体も同じです。最初に通報を受けた人が警察に通報しなければ、捜査・逮捕には至りません。

理由③ 警察官の対応

 通報を受けた警察官が、必ずしも動物愛護管理法に違反する行為を正確に理解しているとは限りません。動物愛護管理法を理解していれば犯罪性を見極めることができます。そうでなければ違反事案として扱われない可能性が高い、ということです。

理由④ 所有者不明で捜査まで至らない

 所有者不明の犬は、36,000頭もいます。動物は自分の名前や住所を伝えることができません。保護された動物の飼い主など管理責任者(以下、所有者)を見つけ出すのは容易ではありません。不適切な管理をした所有者が正直に名乗りを上げることはないでしょう。保護活動においては、違反行為はさておき、とにかく保護を優先するしかないのです。こうして保護される動物は増える一方ですが、検察に送られた違反件数は一向に増えないのです。

*7
日本経済新聞記事2017年11月27日東京版夕刊より
日本獣医生命科学大学田中亜紀研究員が11年に全国の動物病院を対象に行ったアンケート調査では、約 78%が「虐待が疑われる事例を経験した」と回答しました。だが飼い主とのトラブルの懸念や、通報先が分からないなどの理由で、具体的な対策を取っていないケースが大半でした。